さて、京都のゲストハウスひつじ庵です。
今回の記事は非常に長くなりますが、エクスペディアに書かれた一つのレビューから始まった問題。
1か月間にわたりエクスペディアとやりとりしましたが、私(宿側)の要望が通らなかったので、ここに経緯を記録として残します。
三回もの要請に、拒否をしたのですから、エクスペディアさん自身に正当性があるということなので
公表しても問題ないでしょう。
問題が解決しなかった場合、これらの一連の経緯を公表すると、エクスペディアさんの日本支店のスタッフに既に宣言しております。
時系列に説明していきます。
■10月某日 (宿泊日数日前)
●あるスペイン人(ここではJさんと呼びます)から「10月某日女性ドミトリ二泊」の予約が入る。
■10月某日(宿泊予定日)
●スペイン人「男性」Jさんが宿にやってくる。女性ドミで予約が入ってるのに…。
こういうのは年に数回ある。OTA(エクスペディアやじゃらんのような宿泊予約サイトのこと)の予約画面で自分の性別を入力する欄がないので、男性が女性ドミトリを間違えて予約してもそのまま予約が通ってしまうのだ。
当然 男性は女性ドミトリーには泊まれない。
予約者のスマホに届いている予約確認書を確認させる。
彼は「おかしい」という反応…、さらに宿側に届いている予約確認書を見せて、確かに予約が「女性ドミトリ」であることを納得させる。
彼は二泊予約しているが、1日目は幸運にもMIXドミトリが1ベッド空いていたので そこに泊まることができた。
しかし2日目はMIXドミトリは満室。うちでは泊まれない。
彼は、簡単な日本語は話せるし 明るい性格で他の宿泊者とも仲良くなり、満足した宿泊(1泊)だった様子。
私自身も彼の陽気な感じや人懐っこいところが好きで、本当なら二泊してもらいたかった。
●翌朝、彼はエクスペディアに相談し、別の宿が見つかったそうで、普通に晴れやかにチェックアウトしていった。
●彼が元々 予約していた女性ドミトリの1ベッドは結局 新しい予約が入ってくることはなかった。
●男性なのに女性ドミトリを予約したのは彼の間違い、空きベッドとなった二日目は「前日キャンセル扱い」となる。
当宿のエクスペディアにおける前日キャンセルのポリシーは100%。そのことはチェックアウトするときに彼にも伝えてある。
●エクスペディアはゲストがクレジットカードであらかじめ支払う形式(チェックイン時にゲストとの現金のやりとりはない)。
ゲストが無事宿泊したら…またはキャンセルポリシー内の直前キャンセルがあればそれも請求する。そして後日 エクスペディアがコミッション(手数料)を引いた額を宿側に振り込む形となっている。スペイン人Jさんの分は「二日分」請求した。
■11月20日
そんなことがあったのもすっかり忘れていた頃、
エクスペディアのレビューをみると、このスペイン人Jさんのレビューが掲載されていた。
評価の点数は5点中2点…。
レビューの内容を要約すると…
「(タイトル) ナイスなゲストハウス、しかし不誠実なオーナー」
場所はナイス、しかし予約時に問題があった。
予約画面にミステイクがあり、1泊分 女性ドミに予約が入った。
オーナーに話すと、彼は親切でアレンジもしてくれたけど、(二日目は)満室で泊まれなかった。エクスペディアに相談したら、良い解決案を出してくれた、ほかの宿が見つかった。しかしこれは私の間違いじゃないのに、オーナーは空いたベッドをほかのゲストに販売した。オーナーは返金を望まなかった、エクスペディアは払い戻してくれたのに。公平に言ってエクスペディアは良いことをした、しかしオーナーは二倍もの料金を取っていった。
※
まさかこんなレビューが書かれるとは思いもしなかったので驚いた。
あんなにニコニコ帰っていったのに。確かに前半のレビューはイイ、しかし後半が完全に事実誤認だ。
まず、今回は「彼が男性なのに間違って女性ドミトリを予約した」ことがこの問題の始まりだ。
なのに「althought there was not my mistake(私の間違いでないのに)」となっている。
「Expedia itself give it back for me(エクスペディアが返金した)」の一文が謎。
「the owner took twice the money(オーナーが二倍料金を取った)」 彼が泊まるはずだった二日目は新しい予約入らず。彼の二日目は「前日キャンセル扱い」だ。それはポリシー的に問題ない。さらに新規の予約がはいらなかったのだから二倍料金をとったなんて事実無根である。
前半の彼の宿に対する高評価からもわかるように、彼が不満なのが「自分のミスじゃないのにお金を取られた」ということ。
「料金を二倍取った」ことは事実誤認、「私のミスじゃない」も錯誤だ。
こんなおかしなことでレビューを下げられたらたまったものじゃないと、エクスペディアのサポートセンターに電話した。
●電話に出たのは頼りない感じの男性Mさん。
経緯を説明し削除依頼をする。散々説明したのに、削除依頼は あるページの入力フォームに、英語で経緯を説明する文章を記入して、エクスペディアの本部の「クチコミ チーム」に対して自ら削除要請をしてください、とのこと。「そのリンクを後で送ります」とのことで電話を切る。
夕方になってもリンクが送られてこないので、エクスペディアに電話、別の人が電話に出てMさんにはつなげれないとのことで伝言で早く送ってもらうようにプッシュ。
■二日後の11月22日
エクスペディアのMさんからリンクがなかなか送られてこないので、プッシュのため 電話する。
この時 電話に出た女性Fさんがイマイチで なんどもこちらの宿の登録IDを言ったり宿名を言うが、別の宿と勘違いして話してきたり、要領を得ない。Mさんから折り返し電話くれるように伝える。
しばらくしてMさんから電話。本部からリンクをメールする予定だったが、Mさんから直接メールしますとのこと。
なんで入力フォームのURLをコピペしてメールするだけなのに二日待たせるねん…。
しばらくしてリンクが送られてきた。
そのページから、英語で経緯を説明した内容を記入し、送信する。
■翌日11月23日
エクスペディアの「クチコミ チーム」Aさんから英語で返信。
全文掲載したいが、公開の許可を取ってないので、要約すると、
「レビューの削除はできない。削除のガイドラインにそっていないから。」
「削除するのは、スタッフのフルネームがある場合、裸の写真などついてる場合、子供へのバイオレントなど、シリアスな傷害など」
だそうだ。
返信の中で重要な一文がコレ
「Expedia, Inc. does not verify the truthfulness of customer reviews. 」
(エクスペディアは顧客レビューの真実性を検証していません)
↑これには一理ある。
レビューの内容…例えば「スタッフに差別的な発言された」みたいな記述がある場合、それが事実無根だと宿側が訴えたところで、第三者のエクスペディアが検証のしようがない。そういう意味では「検証しない」という態度は正しい。
(実際に 当宿でも ゲスト側があらかじめ情報を読んでないことから起きた問題などで、悪いレビューを書かれたことがあるがそういうのは仕方がない と諦めるしかしょうがない)
しかし、今回「ゲストが男性なのに間違って女性ドミトリを予約した」「宿がキャンセルポリシー通り料金をとっただけ」なんてことは客観的にわかること。ゲストの錯誤や事実誤認であることが、レビューの低い評価につながっているのが明らかだ。
この削除拒否に不満なので、すぐにエクスペディアのサポートセンターに電話する。
祝日であることを忘れていた、日本語話せる外国人女性JAさんに電話がつながった(おそらく海外にあるコールセンター)。
今までのエクスペディアスタッフと違い(失礼(^^;)、非常に受け答えが素晴らしい。経緯を説明すると、しっかりとこちらのことを理解してくれた。このスタッフJAさんからメールで本部のAさんへ 削除要請をしてくれるそうだ。ありがたい。
■その削除要請の返事を待っているころ
当問題のレビューを書いたスペイン人Jさんからメールの返事が来ていた。
エクスペディアのサイト上で予約者とメッセージをやり取りできる機能があるのだが、エクスペディアに抗議する前に、私からスペイン人Jさんに
「レビュー読みました。あなたは事実誤認している。(色々 事実関係を説明して)宿側が悪くないのにあんなレビュー書かれたことが悲しい」
というメッセージを送っていた。その返事が 数日開けて届いたのだ。
内容は、
「私のミステイクではない。私が二泊分を予約するときにエクスペディアのアプリが自動で割り当てたんだ。1日目がノーマルルームなのに、二日目は女子ドミになったんだ。エクスペディアに聞いたら、オーナーは返金を拒んだと言っていた。使ってないベッドに料金を取るなんてフェアじゃない。私はエクスペディアから返金された、しかしあなたはエクスペディアに補償していない」
一泊目 ウチに泊まれたのは一泊目はちゃんとMIXで予約できていたのに…、と勘違いしているようだ。それと「女性ドミトリ」になったのはアプリのせいだと認識している。
それと彼がエクスペディアから返金されたという点が謎である。最初エクスペディアのスタッフMさんに確認したら、返金はしていないと言質をとっている。
彼のメッセージに対し、丁寧に経緯と事実関係を英語で説明してエクスペディア上で彼にメッセージを返信した。
すぐにJさんから返信。一部抜き出すと
「I understand your position and you are right. (あなたの立場は理解した、そしてあなたが正しい)」
「Anyway, you are right. Give me some time until I find how can I change the review and I will get back to you.
Hope I can book in your guest house again. If not, I will try to make a visit and stop by to your place anyway to say hello.(あなたが正しい、レビューの変更ができる方法が見つかるまで私に時間をください、いつかあなたのゲストハウスに行って会いに行くよ)」
こういう返事をもらって、スペイン人Jさんの理解を得られたことと、ゲストのレビュー変更要請の働きかけを期待して、ここで彼には返事はださず、ただエクスペディアからの回答を待つことにした。
■11月28日
5日間ほど経ったころ、メール。
優秀そうなエクスペディア外国人女性スタッフJAさんが本部のAさんに削除要請をしてことは、本当に本当に期待していたのだが、その結果は再度削除拒否の返事。
腹が立ったので、エクスペディアのサポートセンターに電話(お昼前)。一番最初にこの件で対応したMさんがほかの電話にでているとのことで、彼と直接話すため 彼からの電話を待つ。待っても待っても電話こず。
16時に再度プッシュの電話。Mさんでなくても、日本の宿の営業担当はグループで5人ほどでやっているそうで、その誰かと話したいと伝えるがすぐにはダメで、折り返しの電話を待つことに。
結局、その日のうちに電話無し。
こんな大きな会社の社員が、二回もお願いしているのに折り返しの電話をしてこないってどういうことよ?
頭に来たのでツイッターのエクスペディアアカウントに @つけて抗議するがスルー。
■11月29日
16:20頃、丁寧な口調のKさんという女性の人から電話がかかってくる。
日本支店の5人くらいいる営業担当の一人だそうだ。
またもやいきさつを一から説明(もう三度目だよ…)。
ここでエクスペディアがスペイン人Jさんに返金をしていた事実が判明。彼がチェックアウトしたすぐあと、エクスペディアとの話し合いで、ゲストの主張(エクスペディアのアプリの不具合だ)を受け入れて、一泊分の宿泊代を彼に返金したそうだ。
なんですと…。
エクスペディアスタッフKさん曰く「アプリの不具合とは認めてないが(ゲストのミスだと分かっているが)、顧客満足度のために返金した」とのこと。エクスペディアも「ゲストのミス」と認めているのに、エクスペディア負担で返金に応じたそうな…。
かなり衝撃です…。そんなことしたから彼が「自分のミスではない」という確信を得てしまったんじゃないか…。
ここで私とスタッフKさんとの会話
私「ちょっと待ってください、ゲストも宿もエクスペディアさんからみたらお客さんですよね。なのにゲストの要望は相手のミスなのがわかっているのに返金に応じ、宿からの要望は宿のミスではないゲストの錯誤や事実誤認なのに削除拒否って、おかしいじゃないですか?」
K「いえ、ゲストはお客さんですが、お宿さんはビジネスをする上でのパートナーです」
私「パートナー?わかりました…ビジネスする者同士ということで、規約に厳格であるということですか?」
K「そうですね」
私「これ宿側のミスではないのですよ?」
K「それはわかってますが…」
私「あのー、レビューって宿にとって大切だし影響力あるんですよ。別に私のミスや悪い態度、掃除が行き届かなかったなど悪いレビューは受け入れますよ、けど今回はこちらのミスじゃないんですよ、不条理じゃないですか」
K「なのでゲストのレビューの下に返信できるようになってますので、それを書けば…」
私「返信は書いてもいいですが、点数は戻らないですよね、ゲストはレビューの総合点数の良い順にソートして宿を選びますよ。当宿はレビューの数が少ししかないから、この一件だけでも すごく総合点が下がるんですよ」
K「そうですね…」
私「これ宿側のミスでないことが客観的にわかるのになぜ頑なにレビュー削除を拒否するんですか?これ営業妨害じゃないですか?パートナーの営業妨害してどうするんですか?私とゲストのメッセージのやりとり 見れますよね?(エクスペディアの管理画面上でやりとりしているのでスタッフなら覗ける)そこにゲストがレビューの変更を望んでいると書いてあるじゃないですか?顧客満足第一ならその要望くみ取ってみなさいよ」
K「わかりました。私から再度、(Jさんとのやりとりも添付して)本部に削除要請します」
と。
これ色々 経緯を説明したり説教などしながら話していたので1時間20分も話してました。
ゲストのミスなのに言い分を受け入れて、エクスペディア負担で返金したもんだから、ゲストさんは「私が悪くない、返金したエクスペディアはイイ人、なのにゲストハウスオーナーは返金しないから不誠実」という思考回路…悪いレビューを書く動機づけをエクスペディアが行っているといえる。
で…顧客満足度もいい…宿はお客さんじゃなくてパートナーだというのもいい…
でも、もう一度ここに書きますよ。
パートナーの営業妨害してどうする!!
Kさんは非常に受け答えがしっかりしていて、こちらの気持ちを受け取ってくれて好感は持てた。
(上手なクレーマー対応だといえばそれまでだが)
これで今度こそ削除OKとなると確信していた…。
■待ちに待った12月12日
夕方ようやく返事。
結果は、三度目の削除要請拒否。
「削除ができない理由としまして、お客様が個人的な理由を自由に述べることができる必要があるためであるとして、口コミを削除することができないとの回答でございました。」
とのことです。
そうですか…事実無根の内容があっても自由な書き込みが大事なんですね。
さすが
「Expedia, Inc. does not verify the truthfulness of customer reviews. 」
(エクスペディアは顧客レビューの真実性を検証していません)
ですね!
営業スタッフKさんのメール内容は、たしかに私(宿側)に同情的で、日本支店の中では ちゃんと私の言い分は理解しくれている…というのは感じる(多分)。
そのメールの中に「再度 私の上司から削除要請する」と書かれていた。スタッフKさんの力ではどうにもできなかった悔しさはうかがえる。
しかし、前回は「ゲストがレビューの変更希望をしている」という新たな材料があったのに、再度「上司」さんから要請しても無駄でしょう…。すでに三回拒否されているんだから。
時間切れです。
あらかじめKさんには、この削除要請が通らなかった場合は 在庫提供(部屋出し)をゼロにして、いきさつを説明した記事をブログなどにアップするように宣言してましたので ここで記事をかいてアップすることに決める。
■まとめ
1)エクスペディアのレビューには削除のガイドラインがありそれに沿わないものは削除に応じない。
事実無根のことが書かれていても宿側からの削除依頼には断固として応じない。
なぜなら、「お客様が個人的な理由を自由に述べることができる必要があるため」なのと、たとえ記載内容が事実無根だろうと「エクスペディアは顧客レビューの真実性を検証していません。」とのことなので!
2)エクスペディアで予約したゲストさんは「ゲストのミス」で不本意な予約をした場合でも、それがゲストの錯誤や誤操作だろうが、ゲストが「私のせいじゃない」と思いこんでて、それを訴えれば、返金に応じる場合があるということ。
上記の1)の内容はとっても重要ですよ。
例えば「エクスペディアは10月の手数料を二倍取っていった!ゲストがキャンセルした分も余分に手数料とっていった!最悪な予約サイトです。5点満点中2点!」って 私の勘違いで、ツイッターなどネットに書いてもOKなんですよね!だって「エクスペディアは顧客レビューの真実性を検証していません。」なのだから。とっても寛大ですね。
上記の2)の内容も とっても重要ですよ。
例えば、私が「ハワイ」のホテルを予約したつもりが、「羽合(はわい)温泉」のホテルが予約されちゃって、ハワイのホテルでトラブルになっても、「私のせいじゃない、アプリが勝手に はわい温泉を予約したんだ」とエクスペディアさんに抗議の電話を入れれば、
エクスペディアさんは「顧客の満足度」のことを考えて、ハワイの宿を確保してくれて、ちゃんと返金に応じてくれるんです。
凄いですね!もし同様のトラブルで返金に応じなかった場合は私のこの記事をスタッフに読ませてくださいな。
もし返金等応じてくれなかった場合は、私は責任取れませんが、クレームはエクスペディアさんに言ってくださいね。顧客満足度を優先する会社なのでよい対応をしてくれると私は信じてますよ。
※
今回のことがあって、宿の在庫出し部屋提供)は全部ゼロにしましたが、
私が今度 旅行してホテルを予約するときはエクスペディアさんを使いますね!
エクスペディアは予約者にとってはとっても良い会社ですよ!